ブログ広告.comについての議論、の続き


最近このトピックが続いていますが、そもそもこのトピックに対する考察をはじめるきっかけとなったリンク先のエントリが削除され、一部修正、追記の上再度復活し、という状態ですので、既に書いた2つのエントリである


残念、でも勉強になりました。
ブログ広告について書かれたブログに対するコメント


が何を言っているのかよくわからない状態になっていると思います。それぞれエントリを行った瞬間とは様々な意味で状況が違いますし、何しろここ何日間かこのブログを読んでいただいている方以外にはしっくりこないと思うのですが、乗りかけた船なのでもうちょっと続けます。ご興味のある方はリンク先も含めご覧ください。

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ニセモノの良心 : ブログ広告.comがこれまで広告の責任を果たしていなかった事実
http://soulwarden.exblog.jp/3706076


そもそも、議論の前提を「ブログ広告.comに会員登録しているブロガーは、好きでもない商品に対して思ってもいない賛辞の言葉を送り、その行為によって読者を欺くと同時に対価を得る(場合がある)」というところに置かれていると思うのですが、その前提がやはりしっくり来ません。


議論の矛先となる客体に都合の悪いケースばかりを例示して、個人として納得がいかない企業なりサービスを非難するのは非常に簡単です。ただ、それは偏った見方でしかないので、加えて他人を説得し、同意を得たいのであれば反証可能性をゼロに近づけるため、そうではない、つまり今回の場合で言うと、サービスが本来あるべき姿として想定しているケースにもきちんと言及する必要があると思うのです。


(もちろん、説得の必要はなく「私はこう思う」とだけ言いたくて、反論があった場合も「なるほどなるほど。でも私はこう思う」といい続ける、つまり議論をする気がないのであればそれはそれでいいと思います。表現の自由の範疇かと。)


前のエントリでも記載しましたが、

あなた自身が明らかに興味のない広告については無理に記事化して頂く必要はございません。
お送りする「記事掲載依頼メール」に必ず記事化対応をして頂く必要はございません。


ブログ広告.com - 記事の書き方


ということをブログ広告.comは標榜しているわけですから、このサービスの会員、つまりブロガーがその読者に対して紹介したいと思うサービスのみを紹介するわけです。にもかかわらず、

つまり、先日書いたように、ここの会員は広告と明示していないと言う一点ですでに自分の読者を裏切り続け、その裏切りを現金化している。(追記:主語に注意。)


ニセモノの良心 : ブログ広告.comがこれまで広告の責任を果たしていなかった事実


というのはやはり極論です。「広告と明示しない=裏切り」という図式自体が論理的に崩壊していると思います。具体的に例示しながら反証します。

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例えば、私はAmazonアフィリエイトのIDを持っています。このブログはかれこれ3年ほど続けていますが、その期間の中で「広告と明示」せずに自分が購入・予約した、もしくは購入したいと思っている商品のURLに自分のIDをつけて公開し、対価を得たことがあります(例えばこのエントリがそれにあたります)。この行為についてはどのように説明されるのでしょうか。
行為の主体として説明しておくと、私は単に「自分の好きなアーティストのDVDボックスが、Amazonで予約すると20%オフで安いから予約しました(だから気になった人は予約したほうがいいかもしれないです)」と言いたかっただけです。これは「裏切り」でしょうか。


また、コメント等でもご指摘されていた方がいらっしゃったかと思いますが、
アフィリエイトを利用したビジネスモデルを採用するウェブ上のサービス全体についてはどのようにお考えなのでしょうか。


例えば、ウェブクルーという企業が運営している「保険スクエアbang!」というサイトはアフィリエイトモデルです。ただ、同時に様々な保険会社のサービスを比較しつつ一括して見積を行えるという、保険会社との契約について関心があるユーザーにとっては、一般的に考えて非常に利便性の高いサービスです。このサイトでは各企業へのリンク時に「広告と明示」していませんが、これもこのサイトを訪れるユーザーを「裏切」ることになるのでしょうか。

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ブログのメディアパワーが上昇したせいか、それを何とか活用してビジネスに結び付けようとしている企業、個人というのはたくさん存在しています。ただ、ブログをはじめとしたユーザーコミュニティというのはそんなに簡単に操縦できるものではなく、そのコミュニティに参加するユーザーと真摯にかつ誠実に対面しない限り、ビジネスとしての成功は絶対にありえないと、私は思っています。


まとめると、これも繰り返しになりますが、コミュニティビジネスの根幹は「自己責任」と「淘汰」であると現時点で考えています。


金銭的な対価ばかりを考え、ユーザーとの真摯な対話を蔑ろにし、隙あらば欺くようなサービスやマーケティング活動は100%失敗し、淘汰されていくと思っています。また、私たちユーザーも自らの責任の下、各自が独自の、かつ正確な判断基準を持って氾濫する情報と接していかなければならないのだと思っています。企業や広告代理店やマーケティング会社もそうですし、消費者もまだまだ進化する必要があると思うのです。

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そして最後に、前回も述べた通り、

結局のところ、広告ではない情報であってもそれを受容する消費者にとってメリットがなければ価値はなく、逆に広告であってもメリットがあれば大きな価値があるわけです。つまり、消費者にとっての善悪の価値判断を行う場合に「広告だから○○」「非広告だから○○」という二元論での議論に意味があるとは根本的に思っていません。


というのがこのトピックに対する私の結論です。
反論はもちろん、あらゆるご意見を歓迎します。


よろしくお願いいたします。