広告内視鏡


広告内視鏡

広告内視鏡

当研究所より梶祐輔氏の新著『広告内視鏡』が刊行されました。本書は、クリエーティブ界の大御所である氏が前著『広告の迷走』(宣伝会議社)から5年、全篇書き下ろしで世に問うものです。「第一部 二十一世紀の商品広告」、「第二部 二十一世紀の企業広告」を通して、今日の広告に関わる核心的課題が「内視鏡」で診るように、いくつも指摘され、分析され、そして提言が成されます。
 クリエーティブの世界を中心に、広告界の後輩に贈る書、と梶氏は述べておられますが、ひろく広告会社のみなさま、企業の宣伝部の方々、そしてトップにぜひお読み頂きたい一書であります。


うーん。帯には「二十一世紀の広告コースを走ろうとしているヤング・ランナーに手渡す『コース案内』」という記載があるわけですが、あまり広告に、とくに企業広告に理解の無い、もう少し偉い人向けかしら、と思います。残念ながら個人的には刺激的な内容は何一つなく、退屈な一冊でした。ブックファーストで猛烈にプッシュされていたので期待して購入しただけに残念。ただ、原研哉氏のデザインは好きです。


随所に導かれる引用部分が著者の主張の説得材料の大部分を構成しており、他者の著書の内容ばかりが頭に残ります。内容自体は平易なので、論理構成の部分をもうすこしご自身で展開していただいて、厚みのある主張になっていれば、印象は違ったのかもしれません。


著者も着手から出版までずいぶんと時間がかかった旨を後書きにも書いてらっしゃいますが、着想した段階とはずいぶんと違った内容になってしまったんではないかな、と感じました。環境の変化ではなく著者の方の頭の中での構成がうまくまとまらなくなった、というか。


「大御所が何を考えているか」には資するかもしれませんが、現時点では他にもっと読むべき本があります。