ファンドマネージャーが考える投資の法則


ゴールドマン藤野氏(「スリッパの法則」の人)。面白いのでそのまま紹介。

* 業績悪化時にディスクロージャーが悪くなった(なりそうな)会社は避ける
* ディスクロージャーに熱心すぎる会社には注意する
* 急成長企業の新規分野への強気発言は5割引で聞く
* 低成長企業の新規分野への強気発言は9割引で聞く
* トップがディスクロージャーを担当者にまかせっきりの会社のディスクロージャーには価値がない
* ディスクロージャーは経営戦略と結びついてはじめて有効である
* トップが自らディスクロージャーする会社は安心である
* 資料の善し悪しがディスクロージャーの善し悪しを決めないが、資料を作らない会社は論外である
* IR担当者が卑屈であるときも傲慢であるときも企業体質に問題がある場合が多い(銀行出身のIR担当者は不思議と卑屈すぎたり、傲慢であったりする)
* 将来の予想数字を聞くよりも、その数字の前提を徹底的に聞いた方が実りは大きい
* 創業者の魅力にだまされるな(創業者は常に確信犯)
* オーナー経営者は投資家と株価について利害が一致する
* サラリーマン経営者は株価に無頓着なことが多い
* 優秀な番頭のいる会社はリスクが少ない
* 後継者が育っている会社は将来性が高い(=2代目のほとんどはスポイルされている)
* 3代以上続いたオーナー家からは傑物が出やすい
* オペレーションだけ語る社長は投資に値せず、夢とビジョンだけ語る社長には注意が必要で、夢とビジョンに道筋を示す社長には投資できる
* 社長室の豪華さとその会社の成長性(風通しの良さ)は反比例する(=社長室の法則1)
* 社長室に1メートル以上の高さの観葉植物、ニスで塗られた切り株、はく製、それと見て作者のわかる絵画、高級酒、ゴルフクラブ、ゴルフコンペのトロフィー、著名人(有力取引先を除く)とのスナップ写真のうち2つ以上置いてある場合は投資をする前に十分な検討・が必要であり、4つ以上あればその会社は終わっている(=社長室の法則2)
* 金ぴかの時計をしている社長は注意が必要
* コンピューターをさわれない社長は将来性が少ない
* 決算説明会の時に不必要に多くの役員、社員を連れてくる社長は独裁者か数字のことを知らない(=決算説明会の法則)
* 自分の過去の苦労話にインタビューの大半を割く社長を持つ会社の成長性は高くない
* 創業者の過去の歴史を聞くことは非常に重要
* 創業者の自伝を本人からプレゼントされたら、その会社に投資したら儲からない(=自叙伝の法則)
* 平凡な社長は総論を話し、優秀な経営者は各論も話す
* 業績不振の要因を景気や政府のせいにする社長の会社は景気が回復しても業績は回復しない
* 社長が唐突に、著名人との親交をにおわせる、もしくは強調するときはその会社への投資は避けた方がよい
* 社長の話に感動した会社と感動しなかった会社では、感動した会社への投資ははるかに成功する
* 自分の会社の話をすると興奮してくる社長は信頼できる
* 人の話を聞かない社長には投資しない
* 喜々として業界団体やロータリークラブの名刺をくれる社長には要注意
* 質問をしたら怒り出す社長の会社は負け組企業入りかすでに負け組企業である
* 社長車が外車である場合、社長のビジネスセンスを疑う(外車の個人保有はいっこうにかまわない)
* 役員の自社株保有株数の小さい企業の株価は期待しない方がよい
* 役員に同族が多すぎる会社は要注意
* 社長の子息が役員の場合、取り巻きの発生を想像しておいた方がよい
* 兄弟で経営している会社で、弟の学歴が兄の学歴を上回っており、保有株数に差がない場合は現在、および将来の兄弟喧嘩の可能性を考える
* 会社の規模に比べて役員数が多すぎる会社は成長しにくい
* 相談役のいる会社は成長性が少ない
* 社長の保有株比率の高い会社は社長の株価と業績に対するインセンティブは高い
* 極端に社長と一族の保有株比率の高い企業はモラルが低い
* 従業員および従業員持株会の保有株比率の高い企業には期待が持てる
* 親会社の保有株比率の高すぎる会社は株価と業績に対して責任感が薄い
* 仕入先、顧客の保有株比率が高い場合、会社の成長性をインサイダーが確信しているケースと関係会社や取引先を使った実質的な株価操縦のケースと、両極端のケースを想定すべきである
* 金融機関による保有株比率の高い会社の株価はあまり期待できない
* 豪華な本社ビルを建てた場合は、業績のピークか株価のピークかその両方が訪れる(=新本社ビルの法則)
* スリッパに履き替える会社に投資すると不思議に儲からない(=スリッパの法則)(除く半導体、食品、医療等の研究所)
* 社員に体操を強制する会社は儲からない(除く工場)
* 来客時に管理部門の社員でもきちんとあいさつする会社の成長性は大いに期待できるが、営業部門の社員があいさつをできなければ、その会社の成長性は暗い
* 成長している会社の空気は華やぎ、停滞している会社の空気はよどんでいる
* トイレのきれいな会社に投資しても儲かるとは限らないが、トイレの汚い会社への投資は必ず損をする(=トイレの法則)
* 受付嬢の美醜は業績とまったく関係ないが、むしろ極端に美貌の受付嬢がいる場合の方に問題企業が存在することが多い
* 自社製品以外のおみやげをくれる会社への投資は儲からない(=おみやげの法則)
* 女の子のいる店に接待をしようとした会社への投資は儲からない(=クラブの法則)
* 料亭に接待しようとした会社への投資は儲からない(=料亭の法則)


東証 : IRの受け手側の視点
http://www.tse.or.jp/listing/b_listing/ir/shiten_13.html


「法則」に踊らされる必要も過剰に気にする必要もないですが、企業のカルチャー作りに役立ちそうな項目がたくさん。