トラッカブル、について


アドマンと喫煙所で話したこと。今思うことを今書いておかないとと思うのでドロップ。


※以下は私見です。会社としてとかではないのでご注意を。


論点は2つあって、


A.消費者、とくにある一個人の行動を把握することを目的とし、かつトラッカブルなデータ総量のうち、WEBの占める割合が極めて大きい。POSデータや最近話題のトラッカブルなOOHもあるにはあるが、割合としては少ない。


B.仮にすべてのオンライン/オフラインすべての行動がトラッカブルになったと仮定した場合、それら大量のデータをプロセスすると消費者、とくにある一個人の行動を把握し、的確な打ち手を実行することが可能であるかどうかが、今のところ多分誰にも分からない。


の大きく2つ。


まず、Aについて、一番悲しむべきは「間接効果」みたいな概念。


例えば、Yahoo!のブランドパネル(トップページの右上にある大きなバナー)をクリックしてサイトに訪れたユーザーが、その来訪時にはコンバージョンしなかったけど、3日後にリスティング広告経由で来訪し、コンバージョンしました。これはブランドパネルにも一定の効果があった(つまり、ブランドパネルをクリックしなかったらリスティング広告経由のコンバージョンも無かったであろう、ということ)としましょう、というもの。


ダイレクトレスポンス系のマーケティングをしていると、どうしたってブランドパネルの出稿金額でROIが見合うはずがなくて、間接効果って、結論としてはアドマンが言うとおり、「広告出稿の責任者=広告担当&代理店担当者の「自己正当化」のための理由付け」であるとしか言いようがない。


もちろん、まったく影響が無かったかといえばそれは間違いで、何らかの影響を及ぼしている可能性はあると思う。ただし、ここには「消費者の生活がWEBだけで完結している」という小学生でも爆笑しそうな仮定が見えていて、当然コンバージョンまでの間にはテレビも見るし雑誌も新聞も読むし口コミも聞くわけで、ブランドパネルに間接効果が「これくらいありました」という定量的なデータは絶対に算出し得ない。


直接効果何件、間接効果何件、なんていうレポーティングをしているケースをいくつか見ているけど、「で?」って感じ。で、どうするんだろう。ブランドパネルの出稿量を増やしましょうっていう提案もできないだろうし、リスティング広告をこう改善しましょう、とも言えないのに。打ち手に落ちない分析なんて、趣味と同じだ。


というわけで、間接効果についてレポーティングしている人は今すぐ考えたほうがいい。エクセルの「間接コンバージョン」の列やら行やらに書かれている数値から何が読み取れて、それがどんな打ち手につながるのかを。で、ロジックが通ると思っている方はぜひとも教えて欲しい。どんだけ考えても「WEBだけの直接及び間接効果」をトラックしているだけでは何も始まらない、と思ってる(もちろん、例外的な業種はあるかもしれない。かも)。


B.については、勉強不足で正直よう分からん。


仮に人間の客観的に捕捉可能な行動すべてがトラックできた場合に、その消費者に対して効果的なマーケティングアクティビティが行えるか、もう少し言うと、プロモーションが自動的にオプティマイズできるのかというのは行動分析学とか行動経済学とかのマターだと思うので、勉強しないと。リスティング広告の自動入札ツールも所詮は金融工学止まりだし、外的変数をあまり考慮しないで最適化してるんだろうから、「そこまで」のもののはず。


ただ、人間は常に経済的に選択行為を行うわけではないという事実もあるわけで、無理なんじゃないかな、と思うのです。できたら気持ち悪いしね。もしも最適化が常になされるとした場合、ぼくたちの生活はこんな感じになっちゃうのかな、と。


さ、仕事しよう。