どういう心境の変化か 笑


と、昨日の2つのエントリを見た方から質問を直接いただく機会が2度ほどあったので、つらつらと書いてみます。


戦略は一般的にある一定の未来を見通し、その未来において競合優位性を保ちながら競争環境で勝利するために立てるもの。でも、ぼくは預言者じゃないし、なんの特殊能力もない。情報をたくさん手に入れることである程度の「予測」は付くけど、人間はいつでも経済的、合理的に行動するとは限らない。A→B→Cと行くのがベストなのに、A→B→Dと行くことなんてザラにある。法人も含めた「人」がすべて合理的な行動を取らないことなんて、小学生だって分かる。おなかが痛くなるのは分かってて、アイスを食べ過ぎちゃうんだから。だから、「そもそも戦略なんて参考にしかならない」と思ってる。「勝てる可能性が高い戦略」は立つけれど、「確実に勝てる戦略」なんて存在しない。もしもそんなことを言っている人がいるとすれば、プレゼン上のアピール(それは必ずしも悪いことではない。テンションが上がることは大事だから)か、もしくは何か悪い手を使って動いているとしか思えない。


※逆説的に、「すべての人」が経済的・合理的に動かないからこそ戦略に意味がある、という考えも理解できる。ただ、それは言葉と概念の遊びでしかないと思う。そういう意味で「戦略が必要か」という議論に意味はないと思う。そもそも立てることができる人とできない人がいるという、それだけの話。


で、ここ何年かWEBを使った企業戦略を立てることを生業にしてきて、去年の10月からあまりそういうことではない部署に移った経緯はその辺にあって。人間は未来において経済的・合理的ではない。だからこそ、明日や未来の人間ではなく、今この瞬間の、人の心を動かしたい。その結果、ある企業やある商品に対して好意を持ってもらえればより嬉しい。それが、それの積み重ねが、きっと「ブランディング」なんて呼ばれているものなんだと思う。でも、そもそも人の心を動かせないのに好意を持ってもらうことなんて、できるはずがない。「ただで何かあげます」とか言わない限り。


そんな想いがあって、そういう、曖昧な、「人」を相手にしている商売である以上、その瞬間瞬間にすべてを捧げたい。改めてそう感じた。理路整然で美しい戦略を立てることよりも、今、この瞬間、ターゲットとする人々の心をいい意味で「騒がしくする」。それがやるべきことに違いない、そう思ってる。だからこそ、今、人々が何を感じているかを知りたいし、知らなきゃいけないし、知った以上はお返ししてあげなきゃいけない。飛躍な上に余談だけど、みんなを笑わせることのできるお笑い芸人はすごいし、みんながキレイだと思う女優さんはすごい。だから企業はそのイコンを自社の財産として使おうとしているわけだし(必ずしも効果的に使えているかどうかは別だけど)。


街に出よう。人と会おう。楽しいことや嬉しいこと、感動することや笑えること。人々がどんなものを求めているのか、それを今、この瞬間に感じ取って、提供する。そういう自分に、私はなりたい。