ドコモ社長、超怒る。そして満員電車に乗車するということ。

NTTドコモは、2006年度中間期決算を発表した。会見の中で、同社の中村維夫社長は、ソフトバンクモバイルの販売施策、および同社・孫正義社長の一連の発言内容に対して、痛烈な批判を展開した。


ドコモ中村社長、「孫氏の発言には怒りすら覚える」


ビジネスでは基本的に怒っても何の得もしないので、怒っていようがいまいが「怒ってる」と書かれた時点で中村氏の完敗だと思うのですが、個人的に気になるのは以下の発言。

さらに、ドコモとauの料金体系が複雑であると指摘されたことや、日本の携帯電話料金が世界一高い料金体系としたことに対しても、「ソフトバンクは、時間帯を4つにも分割し、曜日ごとに料金を切り分けている。どっちの方が複雑なのか。トラフィックを分散させるためのプランだろうが、もしJRがラッシュ時だけ料金を高くしたら、どんな批判が集まるか。また、総務省の発表でも、日本の携帯電話料金は世界的に見ても、決して高くはない」などとした。


なぜここに引っかかるかというと、私、「JRがラッシュ時だけ料金を高く」するべきだと思っている人間なのです。

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ニーズがあるものは価値が高くなるのは世の常でして、みんなが欲しいと思うものは必然的に高くなるのはオークションなんか見てても明らかですよね。


始業時間が同じだから、なんていうくだらない問題はあるにせよ、現状では朝7時〜朝9時くらいには、ものすごい数の人間のニーズが存在するわけですから、その利益を享受するためのコストというのは高くて当然なのではないか、というのが私の考えです(満員電車は苦行に近しく、あの車内に公共交通機関が通常与える利益は存在しない、という議論はレイヤーが異なりますので、今回は考えません)。で、もう少し考えてみます。


もしも「ラッシュ時料金を適用した場合」、JR側からしてみると、


1.ラッシュ時間帯の混雑が緩和され安定した運行が確保できる。
2.公共交通機関を利用する前提で考えると、電車以上にコストパフォーマンスが高い交通機関は現状存在せず、ユーザー離れの心配はない(自家用車や自転車による通勤は多少増えるかもしれませんが)。つまり、利用者数の減少は少なく、かつラッシュ時に上乗せされるコストにより収益が増加する。


と、いい事尽くめのように見えます。一方、通勤をする、つまりはユーザーの側から見ると


1.不必要なコストが増加する(主に企業が支払う交通費が)。


くらいでしょうか。


どの程度のコスト増に落ち着けるかというのは綿密なシミュレーションが必要だと思いますが、運賃アップによる当該時間帯に乗車していたユーザーの下落率はある程度読めそうです。また、結果的に予想を上回ったり、もしくは下回ったりしても、リスクは「ほかの交通機関に流れる」事のみですので、そこだけをケアすればいい、というのは非常に楽で、どうにでもなるレベルなんじゃないかと。


また、ユーザー側にしてみれば、非常に簡単な解決方法があります。早起きして、早く会社に行けばいいのです。もしくは、会社を説得して、フレックスタイムを導入してもらえば良いのです。ほら、非常に簡単ですね。ちなみに私は、本当に満員電車が嫌いで嫌いで仕方が無いので、アポイントの時間がそれくらいの時間に指定される、といったやんごとなき事情が無い限り、絶対に満員電車には乗らないようにしています。


そもそも、がらがらで座ってゆったりと通勤できる時間に乗車するのと、超満員で死にそうな思いをしなければいけない時間に乗車するのに必要なコストが同じというのは、おかしいと思いませんか? コストを払えば乗りたい時間帯に乗れる、コストを払わないのであれば自らの努力によってピークタイムを避ける、それでよいのではないか、と思うのです。


オフピーク運動」などと言って、利用者の自主的な意識改善を促したところで、すぐに早起きをしたり、フレックスタイムへの移行を上申したりする人間はわずかです。で、あれば、ある程度強制力をもつ「金銭的な負担が生じる可能性」を利用者に対して訴えかけたほうが、効率的な展開であると思うのです。


どちらかの鉄道会社様、そんなことしてみませんか?
以上、満員電車がこの世の中で5本の指には確実に入るほど嫌いな人間からの意見でした。