売れないのは誰のせい? 最新マーケティング入門
売れないのは誰のせい?―最新マーケティング入門 (新潮新書)
- 作者: 山本直人
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/06
- メディア: 新書
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社会人にもなって「課題図書」を読むとは思わなかったのですが、3時間ほどで読破。購買時の想起順位を検索結果になぞらえるのはおもしろいですね。アルゴリズム解明に燃えたい。
印象的だったのは以下の2点。
先にも書いたがマーケティングは米国から輸入された概念である。そして、日本でその必要性が叫ばれるようになって、まだまだ日が浅い。したがって、日本のマーケティングはまだまだ発展する余地があると思う。また、日本人ならではの失敗もある。
そして、そうした失敗の殆どが「他者を知ろうとしない」ことにある。なぜそれが日本人らしいのか。日本人は長いことお互いのことを分かり合っている、と思い込んできたからではないだろうか。それが私の仮説である。
「向こう三軒両隣」なんていう言葉が通用したのははるか昔。「醤油が切れちゃって」なんていうシチュエーションは現代日本、特に都市部には存在しづらいですね。ラブロマンスがうまれるどころか、どちらかというと変人扱いされた上で「コンビニで売ってますけど」といわれて終わり、なんて。
ライフスタイルが変化して、阿吽の呼吸が通じなくなっている日本人。ただし、古き良き「ニッポン人」をスパッと捨てられるわけじゃないので、緩やかな変化を念頭に置きながらマーケティングプロセスを踏んでいかないといかんな、と思います。
あとひとつ、「清貧」に関して。
もちろん清いことは大切だろう。しかしあえて「貧しいこと」に価値を求める社会は健全とは思えない。豊かになり、よりよい物を求め、お金を使うことで満足したいという常識的な気持ちが「物より心」という幻想のために圧迫されているのではないか。それがメディアで再生産されている。
社会全体の風潮が無駄に「清貧」になってますよね。ほんとに。せっかく景気を示す各指標が上向きになっているのに消費にドライブがかからないのはそういう雰囲気のせいもあると思うのです。年金不安やら何やらで先行き不安なのも分かりますが、金は天下の回り物。がんばって消費することで景気を回復させよう、という方向性があってもよいと思うのです。
なお、「誰のせい?」という疑問に対する答えは提示されず、関係者に対する提言(箴言)が行われるにとどまっているので、「こうすれば明日から売上倍増!」的なものを求めている方にはフィットしません。
それと「最新マーケティング入門」という副題がふさわしいものかというと少し疑問です(「最新」がどちらにかかっているか分からないのは意図的なんですよね。きっと)。
全体を通して事例も豊富、必要なところにはデータもあるので、非常に読みやすかったです。マーケティングに関わる方は必読かと。