わたしいまめまいしたわ 現代美術にみる自己と他者
豪華だなー。
ときどき、自分というものの存在が、きわめてあやふやで頼りなく感じられることはありませんか?
その不安のようなものは、どこからやってくるのでしょう。 「わたし」というものが最初から存在するのではなくて、「他者」 ― 社会に生きるほかの人々 ― との関係の中でできあがっていくものだとするならば、今日わたしたちが感じる、めまいにも似た存在の不安は、ただのアイデンティティの問題にとどまらないはずです。
「他者」とのコミュニケーションのあり方や、わたしたちをとりまく現実を認識するあり方の変化にも目を向けてみましょう。 価値観が多様化し、それがインターネットなどの高度情報技術によって増幅されることで、「わたし」と「他者」との関係は幾重にも複雑なものとなり、そのために「わたし」という存在は、定めがたいものになってきたのかもしれません。
しかし、このような混沌とした状況は、わたしたちが改めて「わたし」のあり方を考え直すチャンスでもあります。 そのためには、ものを見ること、認識すること、そこから紡ぎあげた思考を他者に伝えること、そういったひとつひとつの行為を、繰り返し吟味する作業が不可欠です。 そして、これらはまさに今日の美術における重要なテーマとして、多くのアーティストによって探究されてきました。
今回の展覧会では、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館のコレクションを中心として、現代において「わたし」の根拠を問い、「わたし」を取りまく世界を認識し、「他者」との新たな関係を切り拓こうとする作品を集めて、それらを複数の視点からご紹介します。
主な出品作家(順不同、図版掲載作家は省略):
梅原龍三郎、中村彝、岸田劉生、藤田嗣治、谷中安規(たになか やすのり)、麻生三郎、椎原治、靉光、北脇昇、ウォーカー・エヴァンズ、植田正治、浜口陽三、河原温、宮島達男、村上友晴、岡崎乾二郎、ブリジット・ライリー、日高理恵子、フランシス・ベーコン、須田一政、ポール・ストランド、高嶺格(たかみね ただす)、郭徳俊(かく とくしゅん)
展覧会情報わたしいまめまいしたわ 現代美術にみる自己と他者
http://www.momat.go.jp/Honkan/Self_Other/index.html