プレミアム戦略


いい本です。結論。


プレミアム戦略

プレミアム戦略


最近「プレミアム」なブランドをマネージする方々と仕事をする機会が増えてきたな、と思い手に取った一冊。去年の発売時、手に取ったものの読まなかったことを軽く後悔しました。良書。


当然、すべてのブランドがプレミアムを目指せるわけではないし、目指すべきではない。一方で、消費者に、そして市場に認められたプレミアムブランドが手にする恩恵は計り知れない。そんなジレンマを個別企業がどのように消化し、無限に存在するブランド地獄をどのようにサバイブすればいいのかを真正面から教えてくれる内容。


そして、その対象は個別企業にとどまらず、私たち生活者がどのように消費を行うかにまで及びます。プレミアムブランドは高い「欲望の質」から生まれる、と。

■目次
第1章
プレミアムという現象
第2章
プレミアム消費の2つの断面
第3章
プレミアムとは何か
第4章
なぜ「日本発のプレミアム」は育たないのか
第5章
戦略としてのプレミアム
第6章
「日本発のプレミアム」の挑戦者たち


目次はこんな感じ。以下、気になったところのメモ。

「もちろん客観的な評価として、そのものが一級品かどうかはわかります。でもどれほど名品であろうと、欲しくないものは欲しくない。(中略)私が欲しいのは、"語り合えるもの"。一級品であっても、縁のない他人という感じのものもある。買うときには人の意見に頼らず、選ぶ基準はあくまで自分に置いている」


白洲正子の言葉。究極の消費論。

プレミアムには、それぞれの作り手の歴史や伝統、愛用する顧客の逸話や神話といった要素が不可欠である。「レベルの違う上質感」の裏にある「ストーリー」を紡ぎ出し、消費者に投げかけつづけることが、ファンづくりのプロセスでもある。


ストーリーテラーの重要性。


帰納的に必要構成要件を考えていくと、確かにこの本に書いてあるようになるんだけど、演繹的に、ブランドをマネージしていく立場に立ってみると綺麗事なのかも知れないな、と思ったり。ただ、そういう方々と対等にディスカスするために必要な知識を身につけるのはきっと有益なこと。


ちなみに、全く気付かず買ったのですが、「見える化」「現場力を鍛える」の遠藤氏の著作でした。そりゃいいはずだわ。