CHANEL MOBILE ART


平日も含めチケット完売という事実に茫然自失だったぼくを救ってくれたSさん、本当にありがとうございました! お礼は必ず!


で、原宿へ。間違って向かって左から回ってしまいひどい目に。現れたザハ・ハディド建築。思ったよりは小さめ。移動建築だと思うと十分でかいけど。



中身のことはこれから行かれる方もたくさんいらっしゃると思うので深くは書きませんが、良かったものを簡単に。

  • ブルー・ノージズ

前にどっかで観たなあ。どこだろ。ともあれ、一番好きな作品。覗き込みながら「上から」観ると言うスタイル、ダンボールと言うマテリアル、モチーフの入れ込み方、どれをとっても好みでした。

  • ダニエル・ビュレン

この建築物にこの造形は欠かせなかったであろう、と言う意味で素敵。世界と世界をつなぐ扉。あ、横トリの人だ、そう言えば。

金沢のプール作った若手作家。今作も水モチーフ。そしてうまい。ナレーションとの相性がよかったな、ここ。

  • マイケル・リン

そりゃもう単純に、美しいったらありゃしない。台湾のDNAを強く感じる作品。十和田にもあるらしいから見に行こう。

  • スボード・グプタ

インド現代アートのエース。左右のバランスがちと悪くて右側に目が行きがちなのを必死に左にも目に入れようとして集中。バランス悪くても、それでもなお良かった。

  • ヴィム・デルヴォワイエ

モチーフの捉え方としてはもっともイージーな表現方法。でも、やっぱり、今回の展示の中にこういうのがないっていうのは問題だと思うので。「私たちは、豚です。」

  • 束芋、普段の作品はとても好みなのですが、今回はあまりキませんでした。登場タイミングが序盤過ぎる気がするな。なんとなく。まだ展覧会全体にオーディエンスが思索を深める前に唐突に登場するから、無理やり理解しようとして「はて」となる感じ。
  • 上にも書きましたが、個人的にはブルー・ノージズが秀逸。プロジェクタ買って家に流しておきたい。
  • 「40分かけてキュレータの思惑通りに歩きながら観る企画展」はどんな感じなんだろうと楽しみでしたが、思ったより楽しむことができました。時間もギリギリ疲れないレベル。
  • 普段の楽しみ方は、最初から最後まで軽く流しながら、自分の精神が反応する作品を覚えておいて、その後再度入り口まで戻りそれらの作品と2〜3分対峙して対話する、というスタイルなわけですが、こういうのもいいな。
  • あと、SEのレベルは相当高いです。冒頭と最後に流れるブレイクビーツがすげーかっこいいので必聴。あの部分だけでもCDほしい。野本かりあ×nikeのやつに似てる。
  • 最後のエキサイトとコラボってるやつと着せ替えのプレゼントは正直余計かと。いろいろ理由はあるけど、パビリオンを出ていない、つまり作品を味わっている最中であるにもかかわらず、あまりにも現実に引き戻されすぎる。キュレータはここまでキュレーションしているんだろうか。不安。そういうことも含めて「これが日本である」というのなら納得はするけど、やっぱりこれは余計。
  • 素敵なカタログをいただけますが、物販はありません。あしからず。


好き勝手書きましたが、それなりにいい企画展です。ホワイトキューブに押し込められがちな現代アートがこうして世界を旅することができるというのはなんだか痛快ですしね。ただ、単体で見た場合にほかの企画展や常設展を大きく上回るかというとそれはそんなことはなくて。


今回はザハ・ハディドの建築にもスポットが当たっていましたが、アートを感じるための建築としてはやっぱり不十分。普段何気なく通っていた現代美とかに比べれば一段も二段も落ちる。それは単に天井高の問題だけではなくて、そこにある必然性というか、そこでないといけないんだという強い意識が働いていない気がする。移動するんだから仕方ないんだけど。


でも、考えてみれば今回のチャンスを逃すとこの建築物自体を味わえなくなる可能性があるという意味では、世界旅行を自由にできる方以外は必見だ。そりゃ見たほうがいいわ。



チケットが取れないと分かったとき、外だけ眺めてもいいかなー、と思っていたのですが、それはあんまり意味がない気がします。ぜひ中に。そんなぼくも、きっともう一回。


ごちそうさまでした!