WEBサイトのプロダクションにおける「引き算」。
WEB制作の現場を経験していて、最近思うことがあります。
技術の進歩とともに、企業やサービスのWEBサイトには数多くのコンテンツが掲載されるようになりました。「情報大爆発」ではないですが、5年前にアップロードされていたコンテンツと今のコンテンツをファイルサイズで比較するだけでも、その差は圧倒的なものとなっているでしょう。
それに伴い、IA(インフォメーションアーキテクト)と呼ばれる職種が持て囃されるようになりました。コンテンツで膨れ上がったWEBサイト全体の構造をはじめ、伝えたい数多くの情報を各ページに来訪したユーザーにリーチさせやすいように設計する。アイトラッキング、グルイン、リサーチなどなど、ありとあらゆる手法を用いて、「伝えたいことをすべて伝える」という観点から見た場合にベストなWEBサイトを構築する活動が、今日もそこかしこで行われています。
でも、何か違和感があります。何か。
で、いろいろ考えてみると、「情報がたくさん存在する」ことをベースにWEBサイトが構築されていることが違和感の原因な気がしてきました。そして、いかなるページからでもいかなるページへと遷移できる(というのは言い過ぎかもしれませんが、現代WEBサイトにおけるナビゲーションというのは大雑把にそういうことを目指して設計されています)というのが、果たして本当に正しいのか、と。
たとえば、
こういったプロダクトのデザインがユーザーのことを考えていないかというとそんなことはなくて、最適なナビゲーションを構築、ある個所ではあえてナビゲーションの自由度を制限することで快適かつ利便性の高いナビゲーションを実現している好例だな、と。
で、つまるところ、「情報及びナビゲーションにおける引き算の発想」が必要なのではないかと。それは整理ではなく削減。
資料、特にパワーポイントのスライドを作成する際に、「1スライドに1メッセージ」「1秒見ただけでわかる」あたりを大切にしているのですが、WEBサイトもそうあるべき、いや、そうあるべきWEBサイトもたくさんあるんじゃないかと思うのです。
ずらっとコンテンツを並べて「総合商社的」に展開するWEBサイトは見栄えもよく品質も高そうで、実は作るのは手間はかかりますが簡単です(意識するのはMECE、つまり漏れ抜けがないことがトッププライオリティになるので)。
しかし、ユーザーに本当に伝えたいこと、印象付けたいことがはっきりと存在している場合、かつそれが多数ではない場合、必ずしも「ベストプラクティス」に倣う必要はなく、もっともっと自由に、情報を引き算し、選択と集中を行う必要があるはずなのです。
必要最低限の情報のみで構成されたWEBサイト、作ってみたいな。だって、1か月で1回も押されないナビゲーションなんて、意味ないでしょ。