20世紀デザインの異才 ジャン・プルーヴェ 「ものづくり」から建築家=エンジニアへ

http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2004/prouve041008b/


2004年10月30日〜2005年1月16日、神奈川県立近代美術館・鎌倉。

デザイン、建築、エンジニアリングの領域において、フランス人のジャン・プルーヴェ(1901-1984)は、20世紀におけるもっとも多才で革新的な創造者のひとりに数えられる。ル・コルビュジエをはじめ同時代の卓越した精神の持ち主たちから賞賛を集めたプルーヴェの仕事は、ペーパーナイフから照明器具、家具、建築のファサード部分、プレハブ建築、モジュールを用いた建築システム、大規模なホールにいたるまで、きわめて広範囲に及んでいる。それらは手仕事の精神を残しながら工業的な技術によって作られるものとなっている点に大きな特徴がある。アール・ヌーヴォーの中心地ナンシーに生まれ鍛冶職人としてスタートを切ったプルーヴェは、家具の工場生産、建築部材のプレファブリケーション、建物の工業的生産に寄与した偉大な先駆者のひとりに数えられる。自らの工場を持ちつねに職人たちとともに働いたプルーヴェは、自分を「建設家constructeur」とみなし、建築、デザインを合理的な工業生産の論理によって刷新することを試みた。 彼の作品をつらぬく有用性の思考や材料の論理、あるいは工業化への意識などは、まさに新しい現代の美を生み出したといえる。だが、時代の先端を切り開いたプルーヴェの作品は、きわめて独創的なデザイン性と手作りの人間的なぬくもりをあくまで維持するものでもあり、その意味において、現代デザインに孕まれるもうひとつの豊かな可能性を表している。今日、レンゾ・ピアノ、ノーマン・フォスター、ジャン・ヌーヴェルなど多くの現代建築家が彼を師と仰ぎ、その作品から多くの発想を得ている所以である。ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアム慶應義塾大学デザイン・ミュージアム・ファクトリー・コンソーシアムと共同で組織された本展は、日本で最初の大規模なプルーヴェ展であるばかりではなく、今後、ヨーロッパ、アメリカを巡回する重要な国際展として企画された。


何年か前に「イームズの次」みたいにしてインテリア雑誌やらhhstyle.comやらが売り込みに必死だったプルーヴェ。注目度が下がってきた今、いいタイミングの企画展だと思います。と、いうわけで今秋の神奈川県立近代美はマストってことでひとつよろしく。